●閉店●【vol.99】武蔵屋(野毛/居酒屋)

居酒屋|日本酒|〜2,999円|一人で|友人と|

2015年7月末をもって閉店してしまいました。

“三杯屋”と呼ばれ、昭和21年から続いている居酒屋、武蔵屋。暖簾も看板もなく、店内はわずか7坪のスペース。メニューもなく、出されるものも櫻正宗3杯と肴5品と決まっていますが、言葉にはできない魅力がその空間には広がっています。

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桜木町駅から徒歩7分ほど、暖簾も看板もなく、本当に普通の民家に見えます。ただ、お店の前で耳を澄ますと、中から小さいながらザワザワと楽しそうな声が聞こえます。勇気を持ってガラっ!と扉を開けてみてください、温かく迎えてもらえます。カウンター5席、4人掛けテーブルが2つ、座敷には最大14名ほど座れるでしょうか、親戚の集まりのように人が密集しています。

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まずはビール小瓶から、500円。このお店は、日本酒は3杯まで、と決まっているのですが、ビールに関してはそのカウントに入らないことになっています。大瓶(700円)もありますが、僕はたいてい小瓶をお願いして、とりあえず一息つく感じです。

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ビールを頼むと付けてくれる、ピーナッツと塩豆。

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「お酒、お願いします」と店員さんにお願いしたところから、お決まりの1品目、おから。少し甘めの味付け、小エビが少し入っているので、すごく香りがいいです。いやー、美味しい。

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2品目、玉ねぎの酢漬け。さっぱりとした味付け、日本酒の前の箸休めにいいですね。

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お燗、1杯目。女性の店員さんがお燗が入った土瓶を高く持ち上げ、その位置からコップに注ぎ入れます。そして何度見てもたまらい、表面張力のところでピタッ!と注ぎ終わるこの光景。口から飲まないと絶対にこぼれます。笑

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3品目、たら豆腐。ボリュームのある豆腐と鱈の上に、しらす、ねぎ、鰹節をたっぷり乗せてくれます。七味の香り、そして後半になりダシを飲み始めると段々感じてくる、ほんのりゆずの香り。体の芯から温まります。

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お燗、2杯目。ほんと、あの注ぎっぷりには惚れ惚れしてしまいます。

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4品目、納豆。何の変哲もない納豆ですが、少し辛しが効いているのと、ネギがバランスよく入っており、これが美味しい!

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お燗、3杯目。使われている櫻正宗も特別高級とかそういうわけではなく、言ってしまえば普通の日本酒のはずなんですが、適切な温度、注ぎ方、そして雰囲気によって、格別に感じるから不思議です。

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こはだ、400円。メニュー表のようなものはないのですが、実は1品もののアテが何種類かあります。テーブルの斜め向かいさんが食べていて美味しそうだったので、こはだを。

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5品目、お新香。これが終了の合図です。もう少し飲みたい、ここに居たいと、ちょっとばかし寂しい気持ちがわき上がってきます…。

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最後に女将さんからと、お猪口で1杯いただきました。ジーンときますね。

もう一点このお店の素晴らしいところとして、一人で行きカウンターが空いていない場合、間違いなく相席になるのですが、そのテーブルの方々と仲良くなれる、ということでしょう。ふとした瞬間にお互いが顔を見合わせて笑い、いつの間にか会話が弾むんです。この日のお向かいの方は、すでに定年を迎えられたお二方、昔の野毛の面白ろい話をたくさん聞かせてもらいました。このお店の店員さんはすごく若い方が多いのですが、どうしてなんだろうと思っていたら、バイトさんは代々、横国のとあるサークルの学生さんなんだそうで、そんな裏情報まで教えてもらっちゃいました。

7坪しかない店内、扉を開けてみると本当に狭くて驚くかもしれません。でも武蔵屋を体験することで、お客さんが楽しく美味しく飲める環境と、店内が狭いこととは全然関係がないことなんだな、と考えさせられてしまいます。狭いから(ここで言う“狭い”は別の言葉でももちろん変換できます)という理由で諦めてしまっていることが他にもたくさんあるんじゃなか、と。ちょっと話を大きくしすぎているかもしれませんが。

お会計は3,100円だったかな。去り際、再び女将さんからご挨拶をいただき、また来ます!と心に近いお店を出ました。ちなみに、営業日が火曜、水曜、金曜の週3日のみ、開店時間も17時~20時半までとなっているので、ご注意ください!8月は暑いのでまるまる休業みたいです。

武蔵屋以外ではなかなか体験できない至福の空間、暖簾も看板もありませんが、勇気を持って扉を開けてみてください!

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【vol.99】武蔵屋(野毛)

最寄駅:桜木町駅、もしくは日ノ出町駅
住 所:神奈川県横浜市中区野毛町3-133

“神奈川県横浜市中区野毛町3-133”

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2014-05-12 | Posted in ◆野毛周辺・桜木町・関内, ◇神奈川県, ●居酒屋, ★gallery, ☆blogComments Closed 

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